先日、息子といつものコースを散歩していたときのこと。
田んぼ脇の用水路にふと目が留まり、思わず二度見する。
むむむ、そこには大きくは無いけれど存在感のあるマッカチンが居た。
思わず「マッカチンがいるーーーー!」と息子に叫ぶ。マッカチンとはアメリカザリガニのこと。息子も絵本で知っていたマッカチンを目の前に興奮気味。私は約30年ぶりの再会かもしれない。我々の声に驚いたであろうマッカチンは両腕のはさみを空高く持ち上げ、来るな来るなと言わんばかりに後退りしている。
子どもの頃近くの沼に釣竿とスルメを持ってザリガニ釣りに行ったことを思い出す。釣れたザリガニ同士を戦わせたりしたっけ。今もあの沼に住んでいるのだろうか。
時間を忘れてしばらくの間、二人で側溝の中を覗き込んでいた。
あまりに印象的だったマッカチンとの出会いを絵にしたい。躍動感あるマッカチンはやっぱクレヨンだなと思いつき、引き出しの奥からひっぱり出してきた。
クレヨンを久々に握ったら、ベタベタに塗り重ねていく感触がとても楽しく爽快だった。色の上に別の色を重ねてぼかしたり、汚れてもそれが味になるような、違うなと思えばまた上から塗りたくっていく感じがいい加減な自分の性格に合っている。
我ながら立派な王様マッカの完成。実物には触れなかったけれどこれなら掴める。
あれから、あの道を通る度に何度も覗いて探しているけれど、マッカチンに再び出会うことはない。あの日あの時あの場所での出会いは奇跡だったのかもしれない。
息子がもう少し大きくなったらあの沼にマッカチン釣りに行ってみようかな。