夏のある日、右頬に出現した私のイボ。
12月に入ってから急に成長し始めた。朝起きて洗面所で鏡に映った自分の顔を見て明らかに昨日より膨らんできている気がする。息子も気になるようでコロコロと面白そうに触ってくれるからその刺激によって成長しているのかも。それはむくむくと膨らんで小さなきのこのようでもあるし、入道雲のような感じにも見える。誰かと話している時、視線がイボに向いているのが何となく気になり始めた。このままどこまで伸びていくのか見届けたい気持ちもあったけれど、このまま放置して後で取り返しのつかないことになっても嫌だから、思い切って病院に行くことにした。
初めての病院選びは難しい。周りの人にお勧めの皮膚科を教えてもらったけれど、アクセスが悪かったことや営業時間と行きたいタイミングが合わなかったので、Google検索して自分がピンときた皮膚科に行ってみることに決めた。
開店時間の10分前に着いたけれど、人気の皮膚科の様で既に人が待っていて12番目。病院で待つのは慣れっこだから本を読んで待つ。名前が呼ばれて中には入ると噂通りのおじいちゃん先生が待っていた。患部を虫眼鏡で覗きながら、脂漏性角化症という老人性のイボで、悪性のものではないとの説明を受ける。顔だし色々な治療方法があるからうちで治療するより形成外科の方が良いとの先生の判断で、別の病院を紹介してもらうことになった。今日のうちに何かしらの処置をしてもらえるかと思っていたので残念な気持ちもあるが、急がば回れ。悪性じゃないとの診断をもらえただけで十分だ。
数日後、紹介された病院へ足を運ぶ。総合病院で年末だから余計に混んでいたが、思ったより早く名前が呼ばれて中に入る。前回のおじいちゃん先生と同じ診断をされて、液体窒素を使った冷凍凝固法で治療することになった。ベットに横たわり『痛みありますよ〜」と先生の言葉と共に治療開始。想像していた痛みの1/2程で、細い針でチクチク刺されているような感じ。あっというまに終わって次の予約をとって帰宅。経過は人それぞれで何度か繰り返し通う必要があるとのこと。
治療した後のイボは前より黒ずんで、私の内側から湧き上がってきたマグマが固まってへばり付いているようにも見える。指で剥がしてみたい衝動に駆られるがいい大人だし我慢我慢。これからどんどんポロポロになって剥がれ落ちていくのかな、今後がどうなっていくか観察していくのが楽しみだ。
別れは突然、それも思いのほか早くやって来た。
治療から三日目の朝、顔を洗おうと洗面所で鏡をみると、、、ない!!!昨日までの出っ張りがすっかり無くなっていた。慌てて寝室に戻り布団の中を探すと、黒いかさぶたの様な溶岩の塊の様なものが転がっているのを見つけた。
昨日まであった自分の皮膚の一部が無くなるということは、昨日までの自分ではなくなるような、新しく生まれ変わるような気持ちでなんだか清々しい。
余計なものが剥がれて無くなって、とってもすっきりした気持ちで新しい年が迎えられることが嬉しい。今年も残すところ一日。